新規薬局・ドラッグストア開拓:製薬フィールドチームが初回オーダーを獲得し、流通を築く方法

新規薬局開拓を、ホワイトスペースの薬局を発見するレンズとして表現したイメージ流通カバレッジは処方数量の天井ではなく、あくまで土台です。棚に並んでいない製品は調剤できず、一度も訪問したことのない薬局は、担当エリアの売上データにおいて確実にゼロを意味します。製薬企業のコマーシャルリーダーにとって、新規薬局開拓は、HCPのコンバージョンサイクルを待たずにカバレッジを拡大できる、最も速いレバーであることが少なくありません。

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しかし、ほとんどのフィールドチームには体系的なアプローチがありません。医薬情報担当者(MR)は見慣れた取引先ばかりを優先しがちで、初対面の薬局オーナーとの会話を避け、サイクルごとに同じ巡回ルートに頼りがちです。その結果、ホワイトスペースの店舗は放置され、競合ブランドが棚を占有し、流通のギャップは四半期を追うごとに固定化していきます。

本記事では、未開拓店舗のマッピングから見込み先の選定、初回オーダーをアクティブな取引パートナーシップへ転換するまで、製薬フィールドフォースマネージャー向けの実践的な開拓プレイブックを紹介します。

なぜ新規薬局開拓が既存取引先深耕より重要なのか

主要ファクト:薬局における流通

  • 最寄りの薬局で調剤できない処方箋は、後日の調剤に回るのではなく、競合製品への代替に転じる可能性が高くなります。HCPディテーリング活動を始める前に流通のギャップを埋めるフィールドチームは、この商圏レベルでの代替リスクを抑えられます。
  • 米国では独立系薬局が小売薬局全体の約35%を占めますが、チェーン店舗と比べて製薬フィールドチームからのカバーが著しく手薄になっています(NCPA Digest, 2023)。
  • 流通カバレッジが広いテリトリーほど、四半期の売上が安定する傾向にあります。3件以下の主要取引先に集中している状態は、その取引先が仕入れ先を切り替えた際に売上が大きく揺らぐ、脆弱な構造だからです。

既存取引先へのセルイン(卸への出荷)を増やすことに注力したくなるのは自然なことです。関係はすでに築かれており、発注プロセスにも慣れており、積み上げていく土台があります。しかし、既存の薬局がどれだけ在庫を積み増せるかには天井があり、来店患者数が伸びなければその天井はさらに下がります。

新規薬局開拓はこれとは異なる効果を持ちます。流通網全体の面積を広げることで、医師が処方した際に製品を手にできる患者の母集団を直接的に拡大するのです。地域の薬局が自社製品を取り扱っていないHCPが処方箋を書いた場合、それは調剤が遅れるだけでなく、失われた売上そのものです。患者は代替品、多くの場合は競合製品で調剤し、二度と切り替えないことも珍しくありません。

うまく実行できれば、開拓は集中リスクの低減にもつながります。売上の60%が3件の既存取引先に依存しているテリトリーは脆弱です。オーナーの交代、卸との契約変更、競合のプロモーションが一つ起きるだけで、四半期の数字は大きく崩れかねません。取引先の裾野を広げることでこのリスクは分散され、テリトリーの業績はより安定し、予測しやすくなります。

目的は取引先の数を増やすこと自体ではありません。テリトリー内のあらゆる有望店舗が適切な在庫水準で製品を取り扱い、患者の需要が調剤数量へと確実に転換される、体系的なカバレッジを実現することです。問われるべきは、まだ把握できていない店舗がどこにあるかという点です。

テリトリー内の未開拓薬局をどう特定するか

存在を知らない取引先を開拓することはできません。テリトリー内の全店舗と既存顧客を突き合わせればホワイトスペースが見えてきますが、多くのフィールドチームは不完全なデータに頼っています。免許登録簿・規制当局の記録は最も網羅的な情報源です。多くの市場では、保健省や薬剤師会が薬局の免許データベースを管理しています。米国では全米薬事委員会協会(National Association of Boards of Pharmacy)が各州の委員会をまたいでこれらの記録を統括しており、その免許インフラをCRMの取引先データと突き合わせることで、まだアカウントユニバースに入っていない免許取得済みの店舗をすべて洗い出せます。

ディストリビューターの取引先リストは実用性が高く、規制当局の記録より頻繁に更新されていることが多いものです。卸売ディストリビューターは、自社がどの店舗に供給しているかを把握しています。医薬品サプライチェーンの脆弱性に関する研究では、二次卸(サブディストリビューター)が医薬品流通の中で最も見えにくい層であることが指摘されており、これはディストリビューターの担当者への聞き取りから、正式な登録簿には決して現れない取引先を発見できることを意味します。主要ディストリビューターの営業コーディネーターと話すだけで、テリトリー内で競合ブランドを購入している、あるいはまったく購入していない薬局が見つかることがあります。

未開拓薬局の見つけ方を、テリトリー発見マップキットとして表現したイメージ

MRによる現場観察は、どのデータベースにも記録されていない情報を捉えます。新しい看板、開発中のエリアに新規開業したドラッグストア、新しい商業施設に加わった薬局、そして競合がすでに訪問を始めている店舗などです。日々の巡回ルートに現場観察を組み込んでいるMRは、正式な登録簿に載る前にこうした取引先を発見できます。

小売監査データは、NielsenやIQVIAの処方箋トラッキングデータセットのようなプロバイダーから入手できる場合、地域やカテゴリー別に店舗密度をマッピングできます。より大規模なコマーシャル組織であれば、このデータをテリトリー別の正式なカバレッジギャップ分析に活用できます。

店舗リストが一通り揃ったら、次のステップは優先順位付けです。未開拓の薬局がすべて開拓する価値を持つわけではなく、ポテンシャルの低い取引先を追いかけることはMRの稼働時間の無駄になります。

見込み先の選定:正しいターゲットを選ぶ

薬局の見込み先を選定する際は、HCPターゲティングとは異なる視点が必要です。ここで評価するのは処方行動ではなく、商業的なポテンシャル、すなわちこの店舗が自社ブランドを取り扱った場合にどれだけの数量を動かせそうかという点です。 MRの訪問時間を投じる前に、このチェックリストを使って新規薬局の見込み先をスコアリングしましょう。B2Bにおけるアイデアルカスタマープロファイルの考え方と根本は同じです。あらかじめ高価値な取引先の特徴を定義し、現場での勘に頼るのではなく、その基準に照らして見込み先をスコアリングします。

薬局見込み先の選定を、薬局ポテンシャルスコアリングダイヤルとして表現したイメージ

薬局見込み先選定チェックリスト

評価基準 確認するポイント 重要度
1日の来店客数 推定される客足(ピーク時間帯に観察) 高
処方箋取扱量 処方薬とOTCの比率、調剤カウンターの数 高
カテゴリー適合度 現在の棚構成に自社の治療領域が含まれているか 高
立地 病院、クリニック、HCPハブの近隣か 中
オーナーシップ構造 オーナー経営か、チェーン店舗か、フランチャイズか 中
現在の仕入れ先関係 独占的なディストリビューター契約はあるか、競合の存在感は強いか 中
与信状況 ディストリビューターとの既知の支払い履歴 低
競合のギャップ 主要な競合SKUは扱っているが自社製品は扱っていないか 低

来店客数、処方箋取扱量、カテゴリー適合度のスコアが高い店舗は、すぐにMRが注力すべき対象です。HCPハブの近隣にある店舗は特に価値が高くなります。医師が隣接する薬局に患者を送るため、処方箋がそのまま調剤へとつながる度合いがより直接的だからです。在庫の有無が、その処方箋が実際に調剤されるかどうかを左右します。

どの取引先を優先すべきかを理解することは、セールステリトリーマッピングとアカウントユニバースの考え方と直接つながっています。よく設計されたテリトリープランは、単なる地理的な近さではなく、ポテンシャルに応じてMRの時間を開拓ターゲットに配分します。

初回訪問のプレイブック

新規薬局への初回訪問は、二回目の訪問が実現するかどうかを決定づけます。ほとんどの初回訪問が失敗する理由は共通しています。MRが店に入り、会社と製品を紹介し、薬剤師やオーナーが信頼するに足る理由もないうちに売り込みを始めてしまうのです。事前準備:訪問前にポートフォリオの関連性を把握する 訪問前に、その店舗について観察可能なデータを集めておきましょう。棚にはどの治療カテゴリーが並んでいるか。どの競合ブランドが目立つ位置に置かれているか。調剤カウンターの構成はどうなっているか。この準備によって、月並みな売り込みではなく、その店舗に関連性のある会話から訪問を始められます。

薬局初回訪問プレイブックを、薬局カウンターの商談ワークベンチとして表現したイメージ

その薬局が明らかに力を入れているカテゴリーに合った製品を、自社ポートフォリオから1〜2品選びましょう。糖尿病関連の棚が充実している薬局には、皮膚科領域の製品ではなく、まず抗糖尿病薬を提示すべきです。

切り出し方:製品の話の前にビジネスの話をする

新規薬局訪問における最も効果的な切り出し方は、次のようなものです。「私はこのエリアを[会社名]として担当しているのですが、まだ御店とはお取引がないことに気づきました。製品の話をする前に、まず御店のビジネスがどのように成り立っているかを伺わせてください。」

これにより力学が変わります。MRが薬剤師に売り込むのではなく、ニーズを把握するビジネスパートナーとして接することができます。最も売れている治療カテゴリー、よく来店する患者層、特定の分野での供給不足の有無などを尋ねましょう。提案する前に、まず聞くことです。

バリュープロポジション:薬局が本当に気にしていること

薬局のオーナーやマネージャーが気にかけているのは、マージン、動きの速さ、そして患者の需要です。臨床的な有効性は、処方する医師ほど重視されません。バリュープロポジションでは、次の点に触れるべきです。

  • マージン:自社製品の小売マークアップは、競合の代替品と比べてどうか
  • 動きの速さ:このカテゴリーはどのくらいの速さで回転しているか。この規模の薬局として現実的な月間セルアウトはどの程度か
  • 患者の需要:地域のHCPはすでに自社ブランドを処方しているか。患者が名指しで求めているか
  • マーケティング支援:セルアウトを後押しするプル型施策には何があるか。患者向けリーフレット、周辺での医師向けエンゲージメントプログラムなど

OTCカテゴリーの存在感が強い店舗に対しては、ディスプレイ資材、シェルフトーカー、集客につながるプロモーションプログラムといった、視認性を高める支援を加えましょう。

ここで働いている中核となる開拓の原則が、カバレッジ・ビフォア・デマンド・シーケンシングモデルです。あるエリアでHCPディテーリングを行う前に、あるいはそれと同時に、流通カバレッジを確保しておくという考え方です。近隣のHCP担当MRの活動とタイミングを合わせて開拓訪問を行うMRは、トライアルオーダーをアクティブな取引先へより早く転換できます。在庫が入ったその瞬間から処方箋の調剤が始まり、数週間待つ必要がなくなるからです。

薬局カウンターでの反論対応

新規薬局への開拓訪問では、想定できる反論が出てきます。最も効果的に転換につなげるMRは、反論を受け止め、懸念に共感し、価値へと話を戻す応答をあらかじめ用意しています。薬局開拓訪問における反論対応フレームワーク

反論 根底にある懸念 対応アプローチ
「このカテゴリーはすでに仕入れ先があります」 取引先を増やしたくない 「承知しました。このあたりの薬局の多くは、患者様が名指しでお求めになるため、[特定のSKU]については現在の仕入れ先と併用して当社製品も扱っていただいています。まずはその1品からお試しいただくのはいかがでしょうか」
「このあたりでは御社ブランドの需要がそれほどありません」 不動在庫のリスク、資金が寝てしまうこと 「近隣のHCPが何を処方しているか確認できます。もし[近隣の医師名]がすでに処方しているなら、その患者様だけでも動きが出てきます。まずは[少量]のトライアルオーダーから始めませんか」
「価格が高すぎます」 マージンへの懸念、競合との比較 「マージンの計算をお見せします。小売価格[価格]の場合、1単位あたりの粗利率は[X]%となり、カテゴリー平均と比べて[上回る/同程度]です。重要なのは動きの速さです」
「検討させてください」 緊急性がない、機会に納得できていない 「どのような条件が揃えば、御店にとって意味のある話になりますか。曖昧なまま終わらせるより、何が足りないのかを知っておきたいのです」
「棚のスペースがありません」 視認性をめぐる他製品との競合 「まずは小さな在庫ポジションからで結構です、ディスプレイも不要です。30日で動きが見えたら、置き場所を改めて検討しましょう」

反論対応の目的は、議論に勝つことではありません。初回オーダーを妨げている具体的な懸念を特定し、その懸念に対してリスクの低い、的を絞った提案で応えることです。トライアルオーダー、少量発注、特定SKUからのスタートはいずれも、懐疑的な薬局オーナーが感じるリスクを下げます。

薬局訪問プレイブックの訪問前準備セクションには、これらの反論対応をあらかじめ盛り込んでおきましょう。そうすればMRはプレッシャーの中で即興に頼らずに済みます。

コンバージョンマイルストーン:初回接触からアクティブパートナーまで

新規薬局開拓は一度きりのイベントではありません。取引先を前進させるために特定のアクションが必要となる、複数のコンバージョン段階を経て進んでいくプロセスです。 コンバージョンマイルストーントラッカー

薬局開拓のマイルストーンを、6段階の薬局開拓プログレッションとして表現したイメージ

段階 定義 必要な主なアクション 成功のシグナル
プロスペクト 特定済みだが未訪問 初回の選定訪問 薬剤師/オーナーが会話に応じる
初回訪問完了 初回訪問を実施し、関係を開始 5営業日以内にフォローアップ 製品情報や価格の問い合わせ
トライアルオーダー 初回の発注が入る 期日通りの納品、陳列状況の確認 納品から48時間以内に棚に並ぶ
初回リピート 60日以内に2回目の発注が入る 動きのデータを確認し、次回発注を相談 MRから促さなくても発注が入る
アクティブな取引先 継続的な発注、製品が定番として扱われる 訪問頻度の維持、視認性向上施策 月次のディストリビューター販売レポートに取引先として計上される
ディスプレイ・視認性パートナー 製品専用の棚またはディスプレイを保有 ディスプレイ資材の提供、セルアウトデータの共有 ブランドディスプレイが設置され、入り口から製品が見える

この一連の流れの中で最も重要な転換点は、トライアルオーダーから初回リピートへの移行です。トライアルオーダーは、薬剤師が小さなリスクを取る意思を示したことを意味します。リピートオーダーは、患者需要が実際の調剤へと転換し、動きが十分で、薬剤師がその製品は今後も回転すると信頼していることを意味します。この転換ロジックはB2B営業でも同様です。オポチュニティ選定のフレームワークは表面的な関心と本気の購買意欲を区別しますが、その基準は、トライアルオーダーとコミットされた取引先を分ける基準とほぼ重なります。MRはトライアルオーダーの納品から2週間以内にその取引先を訪問し、在庫水準の確認、陳列状況の確認、製品に関する患者や医師からの問い合わせの有無を確認すべきです。

トライアルオーダーから30日経っても動きがない場合は、再発注を勧める前にまず原因を調べましょう。製品は手に取りやすい場所に置かれているか。近隣のHCPはこの薬局に向けてディテーリングを行っているか。カウンターで価格や代替品をめぐる問題は起きていないか。売れ残ることが目に見えている追加発注を勧めるより、コンバージョンが進まない原因を理解する方がはるかに価値があります。

CRMで新規薬局開拓を追跡する

開拓の進捗はCRM上で可視化されて初めて管理可能になります。体系立てたタグ付けとトラッキングがなければ、MRの開拓活動はフィールドマネージャーから見えなくなり、テリトリーのカバレッジの進捗を評価することもできません。

薬局取引先のCRMタグ付けプロトコル

すべての薬局取引先に、次の4つのステータスラベルのいずれかをタグ付けします。

  • プロスペクト:特定済みだが未訪問、または訪問はしたが発注には至っていない
  • 初回オーダー:トライアルオーダーが入り、リピートを待っている状態
  • アクティブ:継続的に発注があり、取引先ユニバースに含まれている
  • 休眠:かつてアクティブだったが、90日以上発注がない

テリトリーレベルでは、フィールドマネージャーは毎月次の項目を確認すべきです。

  • 特定した見込み先の総数に対する訪問済み見込み先の数
  • 初回オーダー転換率(訪問した見込み先のうち、初回オーダーに至った割合)
  • リピート転換率(初回オーダーからアクティブステータスへ移行した割合)
  • 休眠取引先の件数と理由コード

新規薬局開拓におけるMRのKPI

KPI 目標(例) 測定頻度
サイクルごとに特定した新規薬局見込み先数 10〜15件 月次
初回訪問完了率 見込み先の80% 月次
トライアルオーダー転換率 訪問した見込み先の40〜50% 四半期
アクティブ取引先への転換 トライアルオーダーの60%が90日以内に転換 四半期
サイクルごとの新規アクティブ取引先開拓数 MR1人あたり3〜5件 四半期

これらの数値は市場の成熟度、製品のライフサイクル段階、テリトリーの密度によって変わりますが、原則は一貫しています。開拓活動は取引先維持活動と切り離して測定する必要があります。そうしなければMRは見慣れた取引先に頼るようになってしまいます。

顧客セグメンテーションとターゲティングのフレームワークは、特にテリトリーのリソースが限られている場合に、サイクルごとにどの薬局セグメントへ開拓の力を優先的に注ぐべきかをフィールドマネージャーが判断する助けになります。

競争優位の堀としての流通カバレッジ

体系的な開拓能力を築くと、競争のダイナミクスが変化します。もはや自社の棚に何が並んでいるかだけの話ではなく、競合より早くホワイトスペースを埋められるかどうかの話になります。有望な薬局店舗のカバレッジが90%あるテリトリーは、個々の取引先の取扱量が同程度であっても、カバレッジ60%のテリトリーより本質的に守りやすくなります。自社製品がすでに在庫され、各店舗で患者との関係が築かれている状態では、競合の参入コストは高くなります。

視認性もこの堀の一部です。シェルフトーカー、ブランド化された調剤カウンター、患者教育資材などを伴うディスプレイ・視認性パートナーシップまで進んだ取引先は、調剤の現場でのブランドの存在感を強化します。リテールマーチャンダイジングと棚の視認性の施策は、体系的な開拓プロセスによって取引先との関係がすでに強固である場合、格段に効果が高まります。

体系的な開拓は、HCPディテーリングからのプルスルー(処方から調剤への転換)も後押しします。医師が自社製品を処方する際、患者は最寄りの薬局でその製品を見つけられる必要があります。開拓プログラムによって主要なHCPひとりひとりの商圏内でのカバレッジを確保できれば、既存取引先だけを維持しているチームと比べて、書かれた処方箋のはるかに高い割合を実際の調剤に結びつけられます。

時間をかけてオーナーのロイヤルティを築く薬局リレーションシップマネジメントの実践により、最初の開拓は単なる取引的な購入ではなく、持続的な商業パートナーシップへと転換します。

おおよそのプランニングの目安として、積極的にディテーリングを行っているHCP担当MRの商圏内で在庫を確保している独立系薬局は、その商圏外の薬局と比べて、当該ブランドの処方箋をより多く調剤する傾向にあります。この連携効果こそが、先ほど述べたカバレッジ・ビフォア・デマンド・シーケンシングモデルを支える根拠であり、HCP担当MRと薬局担当MRの活動を連動させるべき理由を、どんな社内資料よりも端的に物語っています。

NCPA Digest(2023年)によると、米国の独立系薬局オーナーは、ブランドの取扱いを決める要因としてマージンに次いで「営業担当者との関係性」を重視すると回答しています。製品の売り込みではなくビジネスの会話から始まる体系的な開拓訪問は、最初の接触の時点からこの関係性の力学に直接働きかけます。

開拓KPIを取引先維持KPIと切り離して追跡しているテリトリーは、開拓活動が一般的な訪問データとひとまとめに報告されているテリトリーと比べて、新規取引先の開拓率が高くなる傾向にあります。切り離すことで開拓への取り組みが可視化され、管理可能になるからです。

まとめ

新規薬局開拓は一度きりのキャンペーンではなく、継続的に磨き上げるべき規律です。体系的な見込み先発掘、選定、初回訪問のコンバージョン、リピートオーダーのトラッキングを日々の業務リズムに組み込んでいるフィールドチームは、既存取引先との関係の惰性に頼るチームと比べて、テリトリーのカバレッジをより速く、より持続的に拡大し続けます。

プレイブックはシンプルです。ホワイトスペースをマッピングし、商業的なポテンシャルで選定し、その店舗に合わせた初回訪問を準備し、リスクの低いトライアル提案で反論に対応し、コンバージョンマイルストーンを追跡し、売上目標と同じ厳しさで開拓KPIを管理する。その見返りとして、テリトリー全体で処方箋の調剤を支える、より広く、より強靭な流通基盤が手に入ります。

流通のギャップは放っておいても埋まりません。体系的な薬局開拓こそが、フィールドチームがそのギャップを埋める方法です。

新規薬局・ドラッグストア開拓に関するよくある質問

MRは毎月どのくらいの新規薬局見込み先を特定すべきですか。

ほとんどの市場において妥当な目安は、サイクルごとに10〜15件の新規見込み先を特定し、そのうち80%が同じサイクル内で初回訪問を受けることです。正確な数値はテリトリーの密度や製品のライフサイクル段階によって変わりますが、特定とコンバージョンを分けてトラッキングするという規律はどの市場でも共通です。特定と初回訪問の指標を「訪問件数」というひとつの数字にまとめてしまうMRは、本来の見込み先発掘への投資が不足しがちです。

初回訪問からアクティブな取引先になるまで、一般的にどのくらいの期間がかかりますか。

ほとんどのテリトリーデータによると、初回訪問で本物のビジネス会話が成立していれば、その薬局はその後1〜3回の訪問以内にトライアルオーダーを出す傾向があります。トライアルオーダーからアクティブな取引先(初回リピートオーダー)への移行には、通常30〜60日かかり、納品から2週間後のMRの訪問が重要な介入ポイントとなります。30日目の時点でトライアルオーダーに動きがない場合は、追加発注を勧めるのではなく、陳列状況とHCPからの処方の引き合いを調べるべきです。

薬局への開拓訪問は、HCP訪問を行うのと同じMRが担当すべきですか。

ほとんどの製薬企業のコマーシャル組織では、薬局担当MRとHCP担当MRは別の機能として運用されています。重要な連携要件は地理的・時間的なものです。薬局担当MRは、HCP担当MRが同じエリアでディテーリングキャンペーンを行う前に、あるいはそれと同時に、そのエリアでの開拓訪問を完了させておくべきです。両方のMR機能の間で、担当地域と訪問活動のデータを共有する週次の連携の場を持つことが、最低限の運用基準です。

訪問を無駄にせずに薬局見込み先を選定するにはどうすればよいですか。

訪問前の選定は、観察可能な3つの要素に基づきます。1日の来店客数(ピーク時間帯に観察)、処方を行うHCPとの近さ、そしてカテゴリーの存在感(現在の棚に自社の治療領域や近い代替品が含まれているか)です。忙しい糖尿病クリニックの近くにあり、すでに競合の抗糖尿病薬を扱っている薬局は、専門カテゴリーの存在感が見られない薬局よりも、店舗の全体規模にかかわらず有望な見込み先だといえます。訪問前準備のステップに簡単な選定チェックリストを組み込み、商業的なポテンシャルが本当に存在する相手にMRの対面時間を投じられるようにしましょう。

薬局開拓のトラッキングにおいて、どのCRMフィールドが最も重要ですか。

最低限、すべての薬局取引先にはステータスタグ(プロスペクト、初回オーダー、アクティブ、休眠)と最終訪問日が必要です。それに加えて特に有用なのは、初回オーダー日、初回リピート日(トライアルからアクティブへの転換速度を計算するため)、そして休眠取引先の理由コードです。この4つのデータポイントがあれば、フィールドマネージャーは取引先ごとの個別の訪問レポートがなくても、テリトリーレベルでコンバージョンの問題を診断できます。

競合ブランドと独占的な関係を築いている薬局オーナーには、どう対応すればよいですか。

薬局の取扱いにおける「独占」は、小売レベルで契約上強制力を持つことはほとんどありません。独占のように見えるものの多くは、実際には競合MRが時間をかけて築いた強い関係性です。取るべきアプローチは、既存の関係に異を唱えることではなく、補完的な提案を持ち込むことです。「[競合ブランド]をやめてほしいとお願いしているわけではありません。ただ、当社の製剤の方が合う患者様のタイプが1つか2つあるかもしれない、ということを確認させていただきたいのです」。特定のSKUと少量のトライアル数量から始めることで、実質的には「乗り換え」ではないものを「乗り換える」という心理的なハードルを下げられます。

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About the author

Esther Van

Esther Van

Senior Implementation Consultant

Esther Van is a Senior Implementation Consultant at Rework with a growth marketing focus on Latin American markets. Esther writes about growth in field-sales and distribution-heavy industries, including automotive sales, solar and home energy, agricultural inputs, FMCG distribution, door-to-door home services, and pharmaceuticals, looking at how these businesses find, convert, and keep customers. Esther also covers chat and inbox tools and lead capture automation for teams that sell through conversations.